感覚に頼るだけではなく正しい介護技術を身に着けることは、介護士としてのスキルを伸ばすと共に、無理なく仕事を続けていくために大事な点です。介護の現場は体力を使いますが、しっかりとした技術があれば、無駄のない体の動かし方ができるようになり、体にかかる負担が減るのです。
具体的には、足元を安定させるために足の開きを大きめに取ることができます。また、可能なら爪先を開くのも有効です。こうすることで、重心を下げると共に体を支える足元の面積を広くして、安定した状態で体重を支えられるようになります。そして、利用者の方には体を中心にまとめるような姿勢を取ってもらうことも重要です。たとえば、膝を立てて体操座りのようにして、腕で足を抱えてもらいます。こうすることで重心が集中しますので、移乗などもしやすくなるのです。
体を起こしたり移乗したりする時には、できるだけ大きな筋肉を使うことを意識します。手先だけで支えたり持ち上げたりするのではなく、背中や腰、腹筋などに力を入れて動かすようにします。大きな筋肉はそれだけ大きなパワーを生み出せますし、負荷を分散できるので体力の消耗と怪我を防止できるのです。そのためにも、利用者さんと自分の距離を縮めて、可能なら密着するくらいまで近づくことが有効です。互いの重心が近づくことで、手先をあまり使わずに支えられるようになります。
さらに、てこの原理を使って相手を起こしたり動かしたりする動きを学ぶこともできます。支点を設けてそこに力を入れることで、簡単に体を動かせるようになります。